道の駅が観客席になっていた
お盆の早朝。
サイレンの音が聞こえる。
「ちぇっ」
田舎の人は朝から騒がしいな。
親切にサイレン鳴らしてモーニングコールかよ。
寝ぼけながらそう思っていた。
「うるさい」
朝から何かイベントでもやるのか?
車の窓のカーテンを開けて見る。
・・・。
真っ赤に燃える建物が近くに見える。
・・・。
「えっ」・・燃えている。
よく見ると僕の車と建物の間に止まっていた車が無い。
警察に目撃談を語っている人の車以外に車が無い。
みんな非難していた。
「火事である」
・・・。
「車を動かさなければ・・」
動かすか微妙な距離でもある。
火事場との間には何も建物が無い。
近く感じるが距離は50mはある。
あるはずだ。
・・・。
車を移動するのを止めた。
しばらくすると地元の人達が車で集まって来た。
僕と火事場の間はいつの間にか車で一杯である。
見物人で一杯である。
他の建物が少ない場所での火事。
建物の横の道の駅の駐車場。
そこに人が集まる。
・・・?
災害訓練のように見えないでもない。
僕の後ろのギャラリーの姿を見てみると・・
みんな仮想の世界のものを見ている。
そんな顔をしている。
キャンピングカーの窓から火事を見つめる少女。
夏休みのアトラクションを特等席で見ている。
僕にはそう見えてしまう。
火が鎮火しはじめた。
ギャラリーの姿も少しずつ減り始めた。
催し物が終わったのだ。
火事場に聞こえて来る音があった。
町の防災放送を通して時報を兼ねた音楽が聞こえる。
音楽がリアリティーを僕の中から完全に消し去った。
・・・。
この火事は本物だったのだろうか?
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