知らない街に車で行く。
僕のしそかな楽しみがある。
ナビに表示されるP(駐車場)マークの量を見ることだ。
「おっ・・この街は予想より栄えているな」
「さすが仙台だ」
駐車場のマークの量でその町の規模が分かる。
時々油断しているとナビ画面がPマークだらけになる。
「どひゃ」・・見えない。
街の地図がPマークで見えなくなっている。
僕はあわてて地図の倍率を変える。
人が集まるところで商売人は利益をあげる。
少しでも空いている場所があれば駐車場にする。
商業地域の繁栄度の目安がナビに表示されるのだ。
各地域のナビに表示されるPマークの比較。
やって見ると面白いと思うよ。
中心地に近寄るに従い増えてくるPマーク。
画面全部が埋め尽くされる瞬間。
「キター」
予想が当たると「ニンマリ」。
・・・。
「むふ」

お盆の早朝。
サイレンの音が聞こえる。
「ちぇっ」
田舎の人は朝から騒がしいな。
親切にサイレン鳴らしてモーニングコールかよ。
寝ぼけながらそう思っていた。
「うるさい」
朝から何かイベントでもやるのか?
車の窓のカーテンを開けて見る。
・・・。
真っ赤に燃える建物が近くに見える。
・・・。
「えっ」・・燃えている。
よく見ると僕の車と建物の間に止まっていた車が無い。
警察に目撃談を語っている人の車以外に車が無い。
みんな非難していた。
「火事である」
・・・。
「車を動かさなければ・・」
動かすか微妙な距離でもある。
火事場との間には何も建物が無い。
近く感じるが距離は50mはある。
あるはずだ。
・・・。
車を移動するのを止めた。
しばらくすると地元の人達が車で集まって来た。
僕と火事場の間はいつの間にか車で一杯である。
見物人で一杯である。
他の建物が少ない場所での火事。
建物の横の道の駅の駐車場。
そこに人が集まる。
・・・?
災害訓練のように見えないでもない。
僕の後ろのギャラリーの姿を見てみると・・
みんな仮想の世界のものを見ている。
そんな顔をしている。
キャンピングカーの窓から火事を見つめる少女。
夏休みのアトラクションを特等席で見ている。
僕にはそう見えてしまう。
火が鎮火しはじめた。
ギャラリーの姿も少しずつ減り始めた。
催し物が終わったのだ。
火事場に聞こえて来る音があった。
町の防災放送を通して時報を兼ねた音楽が聞こえる。
音楽がリアリティーを僕の中から完全に消し去った。
・・・。
この火事は本物だったのだろうか?
首都圏に近い道の駅。
時々地方に行った帰りに寄る。
仕事の道具を持ったまま・・
不自然な体勢で仮眠を取っている人がいる。
・・・。
どうしたんだろう。
そんな体勢では体の疲れも取れない。
仕事帰りに疲れて寝てしまったのか?
帰る家が無くなってしまったのか?
そんな人を時々見かける。
下請けの職人さんか?
職人さんは法的な知識の無い人も多い。
支援制度を知っていても支援の窓口に行かない人もいる。
職人気質が残っている人もいる。
日本の支援はドカッと座って待っているだけ。
探し求める事はしない。
ヨーロッパなどを見ると布教活動と言うのがある。
人を導く為にいろんな所に入って行く活動が古くからある。
現在でも町の至る所に救いを求める人を捜し歩く。
救いを求める人を発見することに価値を見出す。
さ迷い歩いた人達が辿り着いた場所が道の駅なのか?
一般の人達は見て見ぬふりをする。
管理者に伝えると排除にだけ動く事を感じているからだ。
日本の仕組みは問題が明確になると排除に動く。
他の機関との連携は嫌な思いをすることが多いからだ。
行政やそれに連なる人達の考え方である。
「余計なことをしやがって・・」
そんな考え方をする奴を僕は沢山知っている。
道の駅にはいろんな人が寄る。
その中には救いを求める人が来るのも自然である。
運営の仕組みの中に必要な支援へ繋ぐことを入れろ。
明確にするべきだろう。
道の駅も時代と共に変化している。
人が欲する形に変化するのが自然である。
変化の中に救いを求める人への対応が入るのも自然だ。
道の駅はいろんな人が集まるオアシスである。
こんなヘタのトマト。
あるようでいてないのだ。
農家が直接持って来ないと手に入らない。
道の駅に置いてあるミニトマト。
一袋100円で売っていた。
おやつにぴったりだ。
食べる時にヘタを見る。
ピンとしている。
「嬉しい」
新鮮でないとこのヘタの状態にはならない。
ドライブする時。
僕のそばにはいつもミニトマトが置いてある。
道の駅を利用するようになってから・・
トマト好きになった。
安くておいしくて健康に良い。
リコピンはお肌にも良い・・らしい。
つるんつるん。

暑い夏。
僕は北へ向かっていた。
隣を見るとビッグバイクにまたがるおじさん。
「クールだ」
歳を重ねて来た人がビッグバイクで旅をする姿。
日本人もさまになってきたようだ。
バイクは風を感じて走る。
風の中にはいろんな匂いもある。
その土地の匂いを嗅ぎながら走るのだ。
僕も以前はバイクで旅をしていた。
走りながら自然に匂いを感じていたのを思い出す。
バイク乗りは匂いを楽しんでいる。
視線の多くは運転の為に使ってしまう。
時々運転しながら眺める風景。
味わって眺めるわけにも行かない。
嗅覚で感じて楽しむようになっている。
「くんくん」
「少し潮風が混じりだしたな」
「もうすぐ海だ」
旅を続けていると地図を見なくとも分かる。
緑の匂いや沼のにおいや海のにおい。
匂ってくるのだ。
旅するライダーは鼻が利くようになる。
このおじさんも匂いを楽しんでいるのかな?
避暑地の道の駅に寄ると犬連れが多い。
犬を残して自分達だけ来るのは気が引ける。
「分かる」・・気がする。
・・・。
犬の散歩をしている人を見ていた。
「おい・・ひっぱるなよ!」
犬が引っ張られるのを嫌がっている。
犬も納得がいかないと動かない。
強引に引っ張ると反抗する。
一生懸命反抗している。
「むふ」・・可愛いじゃないか。